「やばいと思った瞬間、電車が来て」多くの目撃者、その時を語る 京急衝突

トラックは線路沿いの一方通行の幅約5メートルの側道を走行し、幅約11メートルの道路との丁字路にさしかかったところで踏切とは逆に左折しようとしたが断念し、直後に右折した踏切内で立ち往生していた。目撃証言や踏切のカメラに映っていた。

 

神奈川県警によると、トラックは長さ約12メートル、幅約2・5メートル。近くに住む男性(73)は、トラックが左折できずに何度も切り返す様子を「あんな大きいトラックは曲がれない」と思いながら見ていた。トラックは左折を諦め、右折して踏切に進入したが、やや強引に曲がったように見えた。トラックは標識に接触して止まると、そこに遮断機が下りてきた。男性は「やばいと思った瞬間に電車が来て、トラックは目の前から見えなくなった」と話した。

 車で踏切を通過しようとしていた横浜市の会社員、小坂誠さん(30)は、対向のトラックが踏切で動けなくなっているのを見た。近くにいた人が遮断機の棒を上げようとし、運転手は体勢を立て直そうとしているように見えたという。

 トラックを運転していた本橋道雄さん(67)が勤める千葉県香取市の「金子流通サービス」の関連会社の男性(52)によると、本橋さんは別の運送会社で20年ほど運転手として働いた後、昨年10月に入社。入社後に事故を起こしたことはなく、今年6月の健康診断でも問題はなかったという。

 本橋さんは5日午前4時ごろに会社を出て、横浜市内でオレンジなどを積み込み千葉県成田市に運ぶ途中だった。横浜市から荷物を運ぶ業務は4回目で、男性は「1回目に会社が別の運転手を同乗させて教えたルートではなく、なぜあの踏切を通ろうとしたのか。道を間違ったとしか思えない」と話した。

 トラックの様子は踏切に設置されたカメラにも映っており、神奈川県警も映像を確認している。京急によると、トラックは踏切の直前で数分間停止した後、右折して踏切に進入。先頭部分だけが踏切内に入った状態で数回にわたって切り返しをしている間に、遮断機の棒が下り始めた。切り返しをしている時間は30~40秒間程度だったという。